命の不思議

順調な回復振りを見せている祖母ですが、話が出来るようになると不思議なことを言い始めました。


晦日、瀕死の祖母の体には4本の点滴が繋がれていました。
そのうちの一本は血圧を上げる薬であり、医師の話では既に限界の濃度にまで上げているとのこと。
この時点での祖母の血圧は上が47、下は29まで下がっていました。
あまり長期間使える薬ではないらしく、この点滴を使うのは、会わせたい人が来られるまでとの話だったのです。
そして親族一同がようやく面会することが出来たその晩、点滴は止められました。
周りの人間は、あぁ、これでばぁちゃんとはお別れか、と誰もが思いました。
しかし、ここから祖母は奇跡的な回復を見せ始めたのです。
点滴を止めた直後からぐんぐん血圧が上がり始め、翌朝には上が90台、下は40台にまで回復。
その翌日には140台にまで上がってきました。

そして意識が戻った祖母のなかなか聞き取れない話を聞くと、どうやら本人はずっと海の中を漂っていたというのです。
水中で息が出来ず、水面を目指してもがき続けていたら、水面に顔を出せたんだそうです。
そのままあきらめて水中に沈んでいたら、本当に死んでしまったのかもしれません。

実はこれと似た話は私の祖父にもあるんです。
彼は心臓に持病があり、心筋梗塞で一度完全に心停止し、医者もご臨終を宣言したのです。
しかし、顔に白い布をかぶせられ、周囲で葬儀の相談をしている最中、突然その布を自分の呼吸で吹き飛ばし、息を吹き返しました。
ムクリと起き上がった祖父を見て、周りの人間はそりゃびっくりしたものだったそうですが、その時の彼の話では、何でも山手線に乗り遅れ、ドアがピシャリとしまった途端、目が覚めたのだそうです。

生と死の間では、人間ってそういう夢を見るものなのでしょうかね。