斜里岳

冬も含めれば、今年3度目の北海道。いつも同じところばかりを走り回るだけと言うのも能が無いので、何かひとつイベント的なものを入れてみようと考えていました。
最初は旭岳に登ってみようと思っていたのですが、残念ながら天気がイマイチで果たせず。次に狙ったのが斜里岳でした。
しかしこの日も天気予報は雨。それも降水確率70%以上(ーー;)。
ところが朝起きてみると、

晴れてるじゃん(^^)。
キャンプ場からはお目当ての斜里岳が長い裾野を広げてくっきり。

頂上付近も高積雲は出ているものの、雨を予想させるような雲は無し。

こりゃ行くっきゃないでしょ、とそそくさと朝飯をかっこんでテント撤収。
斜里岳の登り口はいくつかあるようですが、おいらは5合目にある清岳荘の登山口から入ることにしました。
ところがこの登山口に至るまでが大変。なんと約8kmのジャリダートでした。
まぁ、普通のバイクならロードモデルでもそれほど苦労することはないようなフラットダートなのですが、今回は超重量級のPan−Europeanに荷物満載。
ところどころジャリの深いところもあり、登山口につくまでにひと汗かいてしまいました。
清岳荘駐車場からの斜里の風景。

ここで飲み水を確保しておこうと思ったのですが、なんと清岳荘の水道は「飲み水には使えません」の表示(ーー;)。
困っていたら、四輪で来ていた人が2Lのペットボトルに入れた水を分けてくれました。
午前8時半、いよいよ登山開始。

10分ほど歩くと小さな沢が現れます。

登山道はどこ?と探してみましたがどうやらこの沢伝いに登るしかないらしい。
右に左に沢を越えながら登っていきます。

旧道(沢コース)と新道(尾根コース)に分かれるあたりで天気が怪しくなってきた。


頂上が見えたのはここまででした。以後一気に悪化していきます。
登りは旧道(沢コース)を使います。
文字通り沢登りのコース。最初は靴を濡らすのが嫌で、流れの上に突き出た岩の上をぴょんぴょんと飛び越しながら登っていたのですが、岩は滑るし、ぐらついて危ないので、途中からはジャブジャブと水の中を歩きました。
このコース、次から次へと滝が現れます。






上二股で山頂に登るコースと尾根コースで下るコースに分かれます。

この頃から雨が降り始め、上空はゴーゴーと風の音が強くなってきました。
途中出会った人たちも、天気の悪化でほとんどがここから降りていきました。
頂上まではあと200mほど。
ここまで来て、頂上を諦めるのは悔しいので行けるところまで行ってみることに。
ところがちょっと考えが甘かったようです。
上二股から上は森林限界を超えたガレ場です。風をさえぎる樹木がないので登るに連れて風が強まってきます。
馬の背にたどり着く頃にはそれこそ立っていられないほどの烈風が下から吹き上げてくるようになりました(>_<)。
2Lのペットボトルの入ったザックが上に持ち上げられてしまい、何だか首根っこを掴まれて持ち上げられた猫みたいな状態にw。
頭を抱えているわけではなく、こうしていないと帽子はおろか、メガネまで吹っ飛ばされてしまうほどの風です。

ハイ松の陰を四つん這いになりながら何とか登頂成功。
この写真を撮るのが精一杯でした。

頂上で眼下に広がる絶景を眺めながらお弁当でもと思っていたのですがとんでもありません。
とっとと降りようと振り返ったのですが、固まりました。
四つん這いで地面ばかり見ながら登ってきたので周りの景色を一切見ておらず、自分がどこから登ってきたのかわからない。つまり帰り道がわからないのです。
視界は約10m。目の前を雲がぶっ飛んでいきます。

風雨はどんどん体温を奪って行くし、風で5mmくらいの小石が顔に当たるし、このままではマジで遭難すると焦りました。
2度3度と行き止まりの道に迷いながらもPROTREKの方位計を使って何とか帰り道を見つけ出し、再び四つん這いでガレ場を下り、樹林帯に逃げ込んだときには本当にホッとしました。
帰りは新道(尾根コース)を使って下山。

熊見峠って・・・(汗)
本当に熊が出てきそうなので、ぶつぶつと独り言を言いながら歩きましたw。
ここはあたり一面ハイ松のコースで、晴れていればそれは素晴らしい景色だそうですが、今日は朝の天気がまるで嘘のような雨&霧&風。
午後3時、ズブズブになって下山しました。


ここ数年、北海道の夏山で遭難する人が後を絶ちません。
斜里岳は標高1500mほどの大した高山ではないのですが、緯度の高い北海道では1000mの山は本州の3000m級の山の環境に匹敵するのだそうで、今回、その恐ろしさを身をもって痛感することになりました。

でも、この山、マジで面白いです。
天気が良ければ、帰りの尾根コースは真っ青なオホーツクを眼下に見ながら歩けたはず。
もう一回チャレンジしてみたい。